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青空文庫の公式リスト1,335人を数えると、著作権が切れた作家は没年1967年までで途切れる(2026年10月1日取得)

青空文庫で読める作品を書いた人を、亡くなった年で並べるとどうなるのか。この記事で確かめたのは、青空文庫で読める作品の作家は没年が何年までに集中していて、新しい作家の追加は年ごとにどう推移してきたかだ。青空文庫が公開している作家別作品一覧(公開中の全作品を載せたリスト。2026-10-01 取得、19,502行)を、人物単位で数えた。

先に結果を書く。

  • 没年が分かる1,150人のうち、1,103人は没年が1967年までだった。1968年以降は47人で、その47人は全員、リストの「人物著作権フラグ」が「あり」だった。フラグが「なし」の人物で、没年が1968年以降の人は0人だった。
  • 1940〜1967年の没年は、毎年9〜41人(1967年は31人)。1968年と1969年は0人で、1970年以降はごく少ない。
  • 1967年に亡くなった31人のうち30人は、リストに初めて載ったのが2018年で、28人は2018-01-01だった。
  • 筆者の考察として、1967年という線は、文化庁の資料にある保護期間の切り替え(2018年12月30日に没後50年から70年へ。すでに切れたものは戻さない)と日付まで合う。青空文庫自身の公式ページも、1967年以前に亡くなった作家の著作権は復活しないと書いている。ただし、リストの作り方や個々の公開の判断は確かめていない。

読みどころは、「青空文庫で読める古典」の端が没年1967年という具体的な年に引かれていて、新しい人物の登場も法律上の日付と重なって並ぶことだ。内容は2026-10-01時点で、法律の説明は一般情報にとどめている。特定の作品や利用が適法かどうかの判断ではない。

没年は1967年までで途切れる。1968年以降の47人は全員「著作権あり」

リストの1行は「作品 x 人物」(同じ作品に複数の人物がいれば複数行)になっている。19,502行を人物ID で束ねると、作品は17,840件、人物は1,335人だった。没年は没年月日の先頭4桁で取り、取れない185人(空欄、「不詳」、紀元前など)は分布から外した。没年月日が年だけ(例 1933)の105人は、その年を没年として数えた。

没年を10年ごとにまとめると次のとおり。

没年 人物の数
1859年以前 59
1860〜1869年 6
1870〜1879年 7
1880〜1889年 16
1890〜1899年 26
1900〜1909年 46
1910〜1919年 73
1920〜1929年 96
1930〜1939年 177
1940〜1949年 235
1950〜1959年 182
1960〜1967年 180
1968年以降 47
没年が取れない 185
合計 1,335

1930年代から人数が増え、1940年代以降は1年あたり9〜41人で推移して1967年で止まる。年ごとの形を図にした(全年の数字は付録B)。

青空文庫の公式リストに載る人物を没年ごとに数えた折れ線(1940〜1970年)。1940年代から1967年までは毎年9〜41人で、1967年は31人。1968年と1969年は0人、1970年は1人。
単位: 人(人物ID単位。没年は没年月日の先頭4桁)。期間: 没年1940〜1970年。没年が取れない185人は含まない。出典: 青空文庫の公式リスト list_person_all_extended_utf8.zip(2026-10-01 取得)を自分で集計

1968年と1969年は、フラグを問わず0人。1970年以降の47人は1970〜2023年に散らばり(1年に1〜6人)、全員が人物著作権フラグ「あり」だった。逆に、没年が1967年以前の1,103人のうち、フラグが「あり」は4人(没年1948年・1958年・1962年・1963年)で、残り1,099人は「なし」だった。この4人が「あり」になっている理由は確かめていない。

「あり」の意味は、公式の定義を見つけられなかったため、推測を避けて確認できた範囲だけ書く。1968年以降の人物のうち、図書カードを2枚開いた(富田倫生「青空のリスタート」、「アジアにかかる虹」)。どちらにも「*著作権存続*」の表示があった。また、青空文庫の「取り扱い規準」は、著作権の切れていない作品も、私的使用の範囲か、著作権者の許諾が明記された範囲で扱えると書いている。リストの「あり」と図書カードの表示がすべて対応しているかは、全件では確かめていない。

没年が取れない185人は、フラグ「あり」が160人、「なし」が25人だった。この25人が1967年の線の内側か外側かは、このリストだけでは分からない。

1967年は、保護期間の切り替えで最後に遡及されなかった没年と同じ

ここからは筆者の考察で、根拠は文化庁の「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」だ。Q&Aには次のことが書かれている。

  • 保護期間は、死亡した年の翌年の1月1日から起算する(問2、第57条)。
  • TPP11協定の発効日である2018年12月30日から、保護期間は原則として没後50年から70年に延長された。延長の対象は昭和43年(1968年)以降に亡くなった人の著作物で、1968年没の人の保護期間は2018年12月31日までだったが、2038年12月31日までになった(問3。例として藤田嗣治が挙がっている)。
  • 一度切れた保護は戻さない。施行日の前日(2018年12月29日)に著作権が消滅していないものだけが延長される(問4、TPP整備法附則第7条)。

この3点から、原則どおりの日付を計算して並べた。次の表の日付は筆者の算術で、問3の1968年だけがQ&Aに明記された日付だ。

没年 起算日 没後50年の満了日 2018-12-29 の時点 現行の没後70年での満了日
1966年 1967-01-01 2016-12-31 満了済み 戻らない
1967年 1968-01-01 2017-12-31 満了済み 戻らない
1968年 1969-01-01 2018-12-31 満了前 2038-12-31
1969年 1970-01-01 2019-12-31 満了前 2039-12-31

没年1967年は、50年の満了が2017年末で、施行の前日にはすでに切れている最後の年になる。1968年没の人は、旧法のままなら2018年末に切れるはずだったところが、延長の対象になった。もし延長がなかったなら、1968〜1975年に亡くなった人は2019〜2026年に順に切れていた計算になる。実際には、1968年没の人が切れるのは2039年(2038-12-31 の満了の翌日)になる。

この表と前の節を並べると、リストで没年が途切れる1967年と、保護が戻らずに切れたままになった最後の没年が一致する。青空文庫の公式ページ「著作権保護期間延長になった作家名一覧」(2018-12-30 作成)も、「1967(昭和42)年以前に亡くなった作家の著作権は復活しません」と書き、1968年没の作家の作品がパブリック・ドメインになるのは2039年の元旦だと説明している。このことから、リストの途切れ目は、保護期間の切り替えの線に沿っていると考える。根拠は、没年の分布(自分で集計した結果)と、文化庁・青空文庫が書いた日付の規則の2つで、どちらか一方だけでは言えない。分布だけでは「なぜ1967年か」が、日付の規則だけでは「リストに実際に何人いるか」が分からない。

ただし、言えない点もある。

  • 没年だけで保護期間は決まらない。Q&Aは、戦時加算(問7〜9)、旧著作権法の時代の著作物の扱い(問10)など、原則と違う場合を挙げている。表は原則だけの計算で、個別の人や作品の保護の有無を判断するものではない。
  • リストの「あり」「なし」は青空文庫側の分類で、法的な判断そのものではない。
  • 青空文庫の公式告知(2018-12-12「CPTPPによる著作権保護期間延長への対応と年末年始のお休みについて」)は、来年年始のパブリックドメイン公開に向けて作業を進めてきたが、準備していた作品の公開はTPP発効で20年先延ばしになると書き、1968年没・1969年没の作家(藤田嗣治、村岡花子ら15人を列挙)の公開作業をいったん停止するとしている。同じ告知は、すでに保護期間が満了している作家の作業は続行してよく、公開済みの作品は取り下げないとも書く。ここまでは公式に書かれた事実だ。一方、この告知は2018年1月1日の公開(28人)には触れておらず、リスト全体の没年分布がどういう方針でできたかも書かれていない。そこから先の意図は断定しない。

新しく載る人物は、保護が切れた年に集まる傾向があった

次に、人物が「いつ初めてリストに載ったか」を見る。人物ごとに、その人の作品の最も早い公開日の年を「初めて載った年」とした。リストの公開日は1997-07-07〜2026-08-20に収まっている。

没年1967年の31人は、30人が2018年、1人が2019年に初めて載った。2018年の30人のうち28人は、公開日が2018-01-01だった(ほかは2018-01-03と2018-08-28)。1968-01-01 起算の没後50年が満了したのは2017-12-31で、翌日の1月1日に当たる。

1967年だけの偶然ではないか。そこで、没年ごとに、旧法の原則どおりに計算した「切れた年」(没年+51年)と初登場の年を比べた。前の節で使った表の日付は、同じ規則から出している。

没年 切れた年 人数(フラグ「なし」) その年に初登場 それより前 それより後
1961年 2012年 23 17 0 6
1962年 2013年 23 12 1 10
1963年 2014年 22 11 0 11
1964年 2015年 14 10 0 4
1965年 2016年 21 13 0 8
1966年 2017年 25 20 0 5
1967年 2018年 31 30 0 1

1961〜1967年の7つの没年を合わせると、159人のうち113人(約71%)が「切れた年」に初めて載っている(「それより前」は1人、「それより後」は45人)。1947〜1960年の14の没年では、259人のうち73人(約28%)だった(「それより前」は4人、「それより後」は182人)。新しい没年ほど、切れた年のうちに載る人の割合が高い。

2つの群の違いの理由は、確かめていない。青空文庫は1997年に始まったので、古い没年の人は開設後に順次追加された、という説明も成り立つ。この表は日付の対応を並べたもので、青空文庫がその日に合わせて公開したかどうかを示すものではない。言えるのは、1961〜1967年没の人の多くが、保護が切れた年のうちにリストに載っていたことと、その割合が1947〜1960年没より高いことだ。

1997〜2026年で、没年1967年以前の人物が最も多く載った年は2018年(79人)だった。このうち1967年没は30人で、残る49人(没年が1966年以前)が2018年に載った経緯は確かめていない。

2023・2024年に初めて載った人物は、没年の線の外側が多い

初登場の年ごとに、没年が1967年以前の人物と、1968年以降または没年が取れない人物を分けて数えた。

青空文庫の公式リストの人物を、その人が初めて載った年(その人の作品の最も早い公開日の年)ごとに数えた折れ線(1997〜2026年)。没年が1967年以前の人物は1998〜2022年に毎年16〜79人で、最多は2018年の79人。没年が1968年以降または不明の人物は2022年までは毎年21人以下で、2023年に69人、2024年に43人。
単位: 人(人物ID単位)。期間: 1997〜2026年(2026年は公開日が2026-08-20のものまで)。「没年が1968年以降または不明」は、没年が1968年以降の人物と、没年が取れない人物の合計。出典: 青空文庫の公式リスト list_person_all_extended_utf8.zip(2026-10-01 取得)を自分で集計

没年が1967年以前の人物は、1998〜2022年に毎年16〜79人が初めて載った。「1968年以降または不明」の人物は、2022年までは毎年21人以下だった。2023年は83人のうち69人、2024年は56人のうち43人が「1968年以降または不明」だった。2025年は5人、2026年は(8月20日までで)2人にとどまる。

2023〜2024年に初めて載った139人を、人物著作権フラグで見ると、「あり」が113人(没年が取れない76人、1968年以降36人、1967年以前1人)、「なし」が26人(全員没年1967年以前)だった。2023年に公開された作品の1つ(図書カード No.62444「アジアにかかる虹」)は、「アジアの現代文芸」という作品集の1編で、著作権存続の表示があった。この記事が使う公開日は、リストの「公開日」の値(No.62444 は2023-08-09)で、図書カードの添付ファイルの「初登録日」(同じカードで2023-07-24)とは別の値だ。青空文庫の2026年1月1日の告知(「そらもよう」)には、大同生命国際文化基金の「アジアの現代文芸シリーズ」から新刊の登録依頼を継続して受けているとある。ただし、113人全体がどういう作品群なのかは、確かめていない。

この変化の理由も、リストだけでは分からない。確かめたのは、「2023年から、新しく載る人物の中心が、保護期間が切れた人物ではなく、フラグ『あり』の人物に変わった」という点までだ。また、2019〜2026年に初めて載った270人のうち、没年が1967年以前は145人、1968年以降は37人、没年が取れない人は88人で、この間も1967年以前の人物の追加が続いている。

数え方と、言えないこと

  • 数えたのは、2026-10-01 に取得したリスト(zip の最終更新は2026-08-21、最新の公開日は2026-08-20)の内容で、それ以降の追加は含まない。「公開中の作品」を載せたリストなので、青空文庫に載っていない作家・作品については何も言えない。没年1967年以前で保護の切れた作家のうち、リストに載っているのは一部にすぎない。
  • 1行は「作品 x 人物」。人物の数は人物ID で数えた。同じ人物の行で、没年月日と人物著作権フラグが食い違うものは無かった。役割(著者・翻訳者・編者など)は区別せず、人物として数えた。翻訳者の没年も分布に入っている。
  • 没年は没年月日の先頭4桁(年だけの表記も年として数えた)。取れない185人は分布に入れていない。「不詳」「紀元前」などの扱いは、この集計での決め方だ。
  • 「初めて載った年」は、その人物の作品の最も早い公開日の年。公開日は作品ごとの値で、後から人物が追加されたり、更新されたりした日ではない。
  • 保護期間の説明は文化庁のQ&Aによる原則の日付で、個別の判断ではない。法令の条文(e-Gov 法令検索)は、取得時にメンテナンス中で開けず、条文そのものは確かめていない。2018年の改正より後の法改正も確かめていない。
  • 保護期間と青空文庫の登録の関係は、「日付と数が重なる」ところまでで、青空文庫の方針・作業の事情は確かめていない。

まとめ

青空文庫の公式リストで、没年が1968年以降の人物は47人で、全員が人物著作権フラグ「あり」だった。フラグ「なし」の人物は、没年が分かる範囲ではすべて1967年までに収まっている。1940〜1967年の没年は毎年9〜41人で、1968年と1969年は0人だった。

この途切れ目は、文化庁の資料にある保護期間の切り替え(2018年12月30日に没後50年から70年へ、すでに切れたものは戻さない)の線と同じ1967年と1968年の間にある。1967年没の31人のうち28人が2018-01-01に載ったことと合わせて、リストは保護期間の切れた日付に沿って更新されてきたように読める。一方、2023年以降に初めて載る人物は、フラグ「あり」が中心に変わっていた。その理由は、この記事では確かめていない。

付録A 取得の方法

  • 入手: https://www.aozora.gr.jp/index_pages/list_person_all_extended_utf8.zip(青空文庫の作家別作品一覧、拡張版、UTF-8)。取得日は2026-10-01。1回の取得で、User-Agent は連絡先を含まない固定の文字列。zip の最終更新は2026-08-21。青空文庫は、図書カードや書架情報(作家別作品一覧CSV)を、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際ライセンスで提供すると取り扱い規準に書いている。
  • 保存: data/cache/aozora-list/(zip・CSV・集計結果 derived-aozora-list-2026-10-01-r2.json、青空文庫の公式ページ・告知の html・開いた図書カード2枚)、data/cache/bunka-hogokikan/(文化庁のQ&A)。集計は scripts/aozora_death_years.py。
  • 文化庁のQ&Aは2026-10-01 に開いた。図書カードも同日に開いた。青空文庫の公式ページ(shiryo_pdlocked.html)と「そらもよう」(2018年分 soramoyou2018.html、最新分 soramoyouindex.html)も同日に取得して保存した。

付録B 没年ごとの人物の数(1940〜1970年)

年 人 年 人 年 人 年 人
1940 20 1948 23 1956 20 1964 14
1941 14 1949 19 1957 23 1965 21
1942 15 1950 18 1958 16 1966 25
1943 28 1951 23 1959 20 1967 31
1944 24 1952 20 1960 19 1968 0
1945 41 1953 12 1961 23 1969 0
1946 33 1954 9 1962 24 1970 1
1947 18 1955 21 1963 23

付録C 集計の定義

  • 人物: 人物ID。没年: 没年月日の先頭4桁(取れない185人は別に数えた)。
  • 初めて載った年: 人物の全行の公開日の最小値の年。
  • 切れた年: 没年+51年(旧法の没後50年が満了した翌年。原則どおりの算術で、戦時加算や旧法時代の特例は考慮していない)。
  • 「1968年以降または不明」: 没年が1968年以降の人物と、没年が取れない人物の合計。

出典