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興収10億円を超えた邦画のうち、アニメは何本か。映連の資料で2000〜2025年の772本を数えた

日本映画製作者連盟(映連)は毎年1月に、前の年に興行収入(興収)が10億円を超えた作品の一覧を「興行収入10億円以上番組」として公表しています。2025年の邦画は38本で、1位は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の391.4億円、2位は実写の『国宝』の195.5億円でした。

この記事で確かめたのは、10億円を超えた邦画に占めるアニメの割合は、本数と興収で同じように増えてきたのかという点です。調べる前は、どちらもおおむね右肩上がりだろうと考えていました。映連の一覧を2000年から2025年まで26年分書き起こし、アニメかどうかを1本ずつ分けて数えました。データの取得日は 2026-09-25 です。

数えたもの

  • 映連「興行収入10億円以上番組」: 2000〜2024年の各年版(PDF)と、2025年分(2026年1月発表の資料)。邦画と洋画のそれぞれに、順位・公開月・作品名・興収(億円、小数1桁)・配給会社が載っています。
  • 数える単位は表の1行です。映連の表は「番組」の単位で、2000年代前半には2〜3本の併映が1行になっているものがあります。この記事ではそれも1本と数えます。
  • 26年分で、邦画は772行、洋画は552行ありました。

書き起こしは、年ごと・邦画と洋画ごとに、各行の合計を資料の「興収計」と比べて確かめました。52組のうち44組は一致しました。残りの8組は0.1〜0.3億円の差(2020年の邦画だけ3.2億円)があったので、その年の PDF を画像で開き、各行の数値が書き起こしと同じであることを確かめました。差は資料の計の側にあります。この記事の合計は、各行の値を足したものです。

映連の一覧には、アニメか実写かの区別がありません。そこで、集計の前に次の基準を決めて、1行ずつ分けました。

  • 本編がアニメーションで作られた作品をアニメとする(手描き・3DCG を問わない)。俳優が演じる実写の劇映画、記録映画、ライブ映像は実写とする。
  • 原作がアニメや漫画でも、実写で作られた作品は実写とする(例: 2011年の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、2025年の『秒速5センチメートル』)。
  • 併映は、作品名の先頭に書かれた本編で判定する。
  • 判断が分かれうる28行には印を付け、扱いを変えた場合の値も出した(最後の「例外と注意点」で扱います)。

分類は、作品名が Wikidata の項目と一致した581行について、Wikidata の「アニメ映画」の分類と突き合わせました。食い違った13行はすべて見直しました。Wikidata の側にアニメの分類が付いていない10行と、同じ名前の別の作品に一致した3行で、分類を変えた行はありません。

まず、26年分を全部数える

772行のうち、アニメは250行(32.4%)でした。興収では、合計21,823.6億円のうちアニメが9,830.2億円(45.0%)です。

5年ごとにまとめると、次のとおりです(2020〜2025年だけ6年)。本数は1年あたりの平均です。

期間 アニメ 実写 本数比 興収比
2000〜2004年 7.2本 10.2本 41.4% 51.0%
2005〜2009年 7.4本 21.6本 25.5% 30.6%
2010〜2014年 9.2本 24.0本 27.7% 35.1%
2015〜2019年 11.4本 26.8本 29.8% 45.1%
2020〜2025年 12.3本 18.2本 40.4% 57.9%

興収比は、2005〜2009年の30.6%から2020〜2025年の57.9%まで、期間ごとに上がっています。本数比は違いました。41.4%から25.5%に下がり、そのあと上がって、2020〜2025年は40.4%です。2000〜2004年とほぼ同じ高さに戻った形で、右肩上がりではありません。「どちらも右肩上がり」という最初の見方は、2005年以降の興収比には当てはまりますが、本数比には当てはまりませんでした。

本数比と興収比がなぜ違う動きになるのかを、次に確かめます。

興収比は、1位の1本で大きく動く

年別に見ると、興収比の上下は本数比より大きく、最も低い2007年は24.0%、最も高い2001年は74.7%でした。1本の大ヒットが、その年の比率をほぼ決めてしまう年があります。

  • 2001年は74.7%。1位の『千と千尋の神隠し』(316.8億円)を除くと48.9%。
  • 2020年は66.0%。1位の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(407.5億円)を除くと30.1%。
  • 2025年は53.9%。1位の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(391.4億円)を除くと39.8%。

そこで、各年の1位の1本を除いて、5年ごとの興収比を計算し直しました。

期間 興収比 各年の1位を除いた興収比
2000〜2004年 51.0% 46.0%
2005〜2009年 30.6% 23.3%
2010〜2014年 35.1% 32.1%
2015〜2019年 45.1% 38.8%
2020〜2025年 57.9% 46.5%

1位を除くと、2000〜2004年(46.0%)と2020〜2025年(46.5%)はほぼ同じです。2020〜2025年の興収比が高いのは、1位の作品による部分が大きいことになります。その6年は、1位がすべてアニメでした(2000〜2004年は5年のうち3年)。

では、本数比が一度下がって戻ったのはなぜか。比率ではなく、本数そのものを見ました。

比率ではなく、本数で見ると

下のグラフは、10億円以上の番組の本数の年別推移です。邦画をアニメと実写に分け、洋画も並べました。

興収10億円以上の番組の本数を、邦画のアニメ・邦画の実写・洋画に分けて年別に並べた折れ線。邦画のアニメは2000年の7本から、年による上下を挟みながら2025年の14本へ増えている。邦画の実写は2000〜2004年の8〜11本から2016年の32本まで増え、2020年は14本、2025年は24本。洋画は2000年代前半の約30本から減り、2020年は4本、2025年は12本。
単位: 本(映連の表の1行=1番組。併映は1本)。アニメ/実写の分類は自分で行った(基準は本文)。期間: 2000〜2025年。出典: 日本映画製作者連盟「興行収入10億円以上番組」各年版(2026-09-25 取得)を自分で書き起こして集計

アニメの本数は、1年あたり7.2本(2000〜2004年)から12.3本(2020〜2025年)へ、期間ごとに増えています。一方、実写は10.2本から26.8本(2015〜2019年)まで増え、2020〜2025年は18.2本に減りました。

本数比が一度下がって戻ったのは、アニメの本数が減って増えたからではありません。実写で10億円を超える作品が2005年以降に増え、2020年以降に減ったためです。2000〜2004年の本数比41.4%は、10億円を超える邦画が1年に17.4本しかなかった中での比率でした。同じくらいの本数比でも、2000〜2004年と2020〜2025年では、中身の本数が違います。

洋画の10億円以上は、1年あたり29.8本(2000〜2004年)から10.3本(2020〜2025年)に減りました。2020年は4本、2021年は5本です。2025年は、邦画のアニメ14本、邦画の実写24本、洋画12本でした。

年別の値は次のとおりです(本数比・興収比は邦画の中でのアニメの割合)。

年 アニメ 実写 本数比 興収比 洋画
2000 7 11 38.9% 49.3% 29
2001 7 8 46.7% 74.7% 30
2002 7 10 41.2% 56.0% 30
2003 7 11 38.9% 31.9% 29
2004 8 11 42.1% 37.1% 31
2005 7 19 26.9% 42.2% 37
2006 8 20 28.6% 30.6% 22
2007 7 22 24.1% 24.0% 22
2008 6 22 21.4% 32.2% 24
2009 9 25 26.5% 24.4% 23
2010 9 20 31.0% 34.3% 19
2011 7 25 21.9% 26.7% 22
2012 10 29 25.6% 28.1% 20
2013 12 23 34.3% 47.7% 21
2014 8 23 25.8% 37.8% 18
2015 12 27 30.8% 45.7% 22
2016 11 32 25.6% 48.5% 19
2017 10 28 26.3% 38.2% 24
2018 8 23 25.8% 34.5% 23
2019 16 24 40.0% 53.6% 25
2020 7 14 33.3% 66.0% 4
2021 13 20 39.4% 49.3% 5
2022 14 12 53.8% 71.8% 16
2023 12 22 35.3% 51.8% 15
2024 14 17 45.2% 58.1% 10
2025 14 24 36.8% 53.9% 12

最初の見方では分からなかったこと: 増えたのは、毎年のシリーズ以外のアニメ

アニメの中身も分けてみました。26年の一覧には、ほぼ毎年名前がある4つのシリーズがあります。『名探偵コナン』『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』は26年のうち25年、ポケモンの劇場版は21年です。この4シリーズと、それ以外のアニメに分けて数えました。

期間 4シリーズ(本) それ以外のアニメ(1年あたり) アニメのうち4シリーズの割合(本数)
2000〜2004年 20 3.2本 55.6%
2005〜2009年 19 3.6本 51.4%
2010〜2014年 21 5.0本 45.7%
2015〜2019年 20 7.4本 35.1%
2020〜2025年 19 9.2本 25.7%

4シリーズは、どの期間も19〜21本で、ほとんど変わっていません(2020〜2025年は6年で19本。ポケモンの劇場版は2022年以降の一覧にありません)。増えたのは4シリーズ以外のアニメで、1年あたり3.2本から9.2本になりました。2000〜2004年はアニメの半分以上が4シリーズでしたが、2020〜2025年は4本に1本ほどです。

1位の作品も同じ傾向でした。2020〜2025年の各年の1位6本のうち、4シリーズの作品は2024年の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』だけです。

例外と注意点

分類の境界例。 アニメか実写かの判断が分かれうる28行に、次の印を付けました。

  • 実写とアニメの併映(3行): 2002〜2004年の『ゴジラ』シリーズと『劇場版とっとこハム太郎』の併映。先頭の本編(実写)に合わせて実写に数えた。
  • 1本の中に実写のパートがある作品(1行): 2017年の『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』。公式サイトに「アニメと実写、ダブルの世界で描かれる」とあります。TV アニメの劇場版シリーズの1作として、アニメに数えた。
  • フル3DCG のアニメ(12行): 2014年の『STAND BY ME ドラえもん』、2021年の『映画 えんとつ町のプペル』、2023年の『THE FIRST SLAM DUNK』など。基準どおりアニメ。
  • TV シリーズの再編集を含む作品(7行): 2024年の『劇場版「進撃の巨人」完結編 THE LAST ATTACK』(TV の「The Final Season 完結編」前編・後編を再構築した劇場版)、2025年の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(TV 放送の前に、一部の話数を劇場用に再構築して公開)など。どちらも公式サイトの説明で確かめた。基準どおりアニメ。
  • アニメのキャラクターによるライブ形式の作品(4行)、過去作のリマスター上映(1行、2025年の『もののけ姫』4K デジタルリマスター)。基準どおりアニメ。

扱いを変えた場合の値も出しました。「狭く」は、再編集・リマスター上映・ライブ形式・実写パートを含む作品をアニメから外した場合です。「広く」は、実写とアニメの併映をアニメに入れた場合です。

期間 基準どおり(本数比 / 興収比) 狭く 広く
2000〜2004年 41.4% / 51.0% 41.4% / 51.0% 44.8% / 53.6%
2005〜2009年 25.5% / 30.6% 25.5% / 30.6% 25.5% / 30.6%
2010〜2014年 27.7% / 35.1% 27.7% / 35.1% 27.7% / 35.1%
2015〜2019年 29.8% / 45.1% 28.8% / 44.0% 29.8% / 45.1%
2020〜2025年 40.4% / 57.9% 34.4% / 54.2% 40.4% / 57.9%

境界例は2019年以降に多く、2020〜2025年の本数比は、狭く数えると34.4%になります。どちらの数え方でも、2020〜2025年の値は2005〜2019年より高く、本数比が2000〜2004年と同じくらいかそれ以下という点も変わりません。

1行=1番組。 併映は1本に数えています。2000年代前半は、アニメどうしの併映(例: 2001年の『ONE PIECE』と『デジモンアドベンチャー02』など)も1本です。

記者発表の時点の値。 各年の表の値は、翌年1月の発表の時点のものです。上映中の作品には印が付いていて、その後の値が次の年の資料に注記されることがあります。例えば『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、2023年の表では24.7億円、2024年の資料の注記では32.2億円です。この記事は、各年の表に載った値を使いました。

年の区切り。 前の年の12月に公開された作品は、次の年の表に入っています(表の公開月が「24/12月」のような書き方の作品)。同じ作品が2つの年の表に重複して載っている例は、今回の書き起こしでは見つかりませんでした。

10億円は名目の金額。 物価や入場料金の変化は補正していません。映連の過去データでは、平均入場料金は2000年が1,262円、2025年が1,454円です。

2020年と2021年。 10億円を超えた本数が少ない年です(2020年は邦画21本・洋画4本、2021年は洋画5本)。その理由は映連の一覧には書かれておらず、この記事では確かめていません。

まとめ

  • 2000〜2025年の興収10億円以上の邦画772本のうち、アニメは250本(32.4%)、興収では45.0%でした。
  • 興収比は2005年以降、期間ごとに上がっていましたが、各年の1位を除くと2000〜2004年と2020〜2025年はほぼ同じでした。本数比は一度下がって戻っていて、右肩上がりではありませんでした。
  • 本数で見ると、アニメは1年あたり7.2本から12.3本に増え続けていて、増えたのは毎年の4シリーズ以外のアニメでした。比率の動きは、実写の本数の増減の影響を大きく受けています。

出典