カルチャー公開 データ取得日

1人あたりの年間映画館入場回数は、1960年の10.9回から2025年の1.5回へ。1975年以降は0.8〜1.6回の範囲で動いていた(映連の入場者数÷人口)

日本では、1人が1年に映画館へ行く回数は、2025年で約1.5回(1.53回)だった。1960年は約10.9回(10.86回)で、2025年はその約7分の1にあたる。

この記事で確かめたのは、日本人は1年に何回映画館に行っているのか、1960年ごろと比べて何分の1なのかという問いだった。日本映画製作者連盟(映連)の年間入場者数を、総務省統計局の人口で割って求めた。1人あたりの入場回数は、映連の表に載っている値ではなく、年間入場者数÷人口で自分で作った値だ。取得日は 2026-10-01。この問いは、映連の表で入場者数の総数を先に見てから立てた(データ先行)。調べる前に置いた仮説は無い。

下がったのは1960年代から1970年代前半だった。1960年の10.86回が1975年には1.55回になり、15年で約7分の1になっている。1975年から2025年までの51年間は、0.84回(2020年)から1.55回(1975年)の範囲に収まっていて、2025年の1.53回は1976年以降では2019年(1.54回)に次ぐ高さだった。ただし1999年までと2000年以降の入場者数が同じ数え方かどうかは確かめられていない。1960年と2025年を直接比べる数字は、同じ数え方だとみなしたうえでの値である(後の節に書いた)。

求め方: 入場者数÷各年10月1日現在の総人口

  • 入場者数は、映連「過去データ一覧」の年間入場者数(千人)を使った。1955年から2025年までの71年分がすべて載っていて、2025年の値は映連の全国映画概況(188,756千人)と一致する。
  • 人口は、総務省統計局「人口推計」の各年10月1日現在の総人口を使った。1955〜2024年は統計局の2024年版の参考表、2025年は2026年9月報の参考表(123,219,024人)から取った。統計局の2025年の値は令和2年(2020年)国勢調査を基準にした値で、統計局は2025年国勢調査の結果が出たあとに更新する予定としている。
  • 照合のために、World Bank の人口(SP.POP.TOTL、日本、1960〜2025年)でも同じ計算をした。統計局の値との差は最大0.52%で、1人あたり回数は66年のうち19年で小数第2位の値が異なり、差は最大でも0.02回(1960年の10.86回と10.88回)だった。2025年の人口は World Bank にも値があり(123,366,734人、統計局より0.12%多い)、どちらの人口でも1.53回になる。この記事の表と図は、1955年から使える統計局の値で作った。
  • 入場者数は暦年(1〜12月)の値、人口は10月1日の値で、期間は厳密にはそろっていない。

回数は1960年代に急に下がり、1975年以降は0.84〜1.55回の範囲だった

主な年の値を並べる。入場者数と総人口は千人単位、平均料金は映連の表の値で名目(物価の補正なし)。

年 入場者数(千人) 総人口(千人) 1人あたり回数 スクリーン数 平均料金(円)
1955 868,912 89,276 9.73 5,184 63
1958 1,127,452 91,767 12.29 7,067 64
1960 1,014,364 93,419 10.86 7,457 72
1965 372,676 98,275 3.79 4,649 203
1970 254,799 103,720 2.46 3,246 324
1975 174,020 111,940 1.55 2,443 751
1980 164,422 117,060 1.40 2,364 1,009
1990 146,000 123,611 1.18 1,836 1,177
1996 119,575 125,859 0.95 1,828 1,245
2000 135,390 126,926 1.07 2,524 1,262
2010 174,358 128,057 1.36 3,412 1,266
2019 194,910 126,555 1.54 3,583 1,340
2020 106,137 126,146 0.84 3,616 1,350
2025 188,756 123,219 1.53 3,697 1,454

最も高いのは1958年の12.29回で、この年は入場者数も表の71年間で最も多い(1,127,452千人)。1960年の10.86回から1965年に3.79回、1970年に2.46回、1975年に1.55回と下がっていく。1960〜1975年のあいだに、入場者数は1,014,364千人から174,020千人へ約17%になり、総人口は約20%増えた。つまり回数の低下は、人口の減少ではなく入場者数の減少によるものだ。1960年から2025年までを通しても、入場者数は約19%になり、総人口は約1.32倍になっている。

1960〜2025年の折れ線にすると、1960年代に落ちたあとは、ほぼ平らな形になる。

映連の年間入場者数を総人口で割った、1人あたりの年間入場回数の折れ線。1960年の10.86回から1975年の1.55回まで急に下がり、その後は2025年まで0.84〜1.55回の間で上下している。最も低いのは2020年の0.84回、2025年は1.53回。
単位: 回(年間入場者数÷各年10月1日現在の総人口。自分で作った値)。期間: 1960〜2025年。出典: 日本映画製作者連盟「過去データ一覧」(2026-10-01 取得)、総務省統計局「人口推計」(2026-10-01 取得)の値から自分で算出。1999年までと2000年以降の入場者数を同じ定義とみなしてつないでいる(本文参照)

1975年以降: 0.84〜1.55回の範囲で、2025年は2019年と同じ水準に戻った

1975年以降の回数は、年ごとの単純平均で、1976〜1999年が1.22回、2000〜2019年が1.29回、2022〜2025年が1.29回だった。表の1975年(1.55回)から1990年(1.18回)、1996年(0.95回)まで下がったあとは、2000年(1.07回)から2010年(1.36回)、2019年(1.54回)へ上がっている。1回を下回ったのは、1994年(0.98回)と1996年(0.95回)、2020年(0.84回)と2021年(0.91回)の4年である。

2020年は、入場者数が前年の194,910千人から106,137千人へ、約54%になった。1人あたり回数は1.54回から0.84回になり、71年間で最も低い。2022年に1.22回、2023年に1.25回、2024年に1.17回と戻り、2025年は1.53回になった。2025年の入場者数(188,756千人)は2019年の約97%だが、総人口が2019年より約334万人(2.6%)少ないため、1人あたりでは2019年(1.54回)とほぼ並ぶ。

入場者数そのものは、2019年を除くと、2025年より多いのは1971年(216,754千人)までの年だけだった。

縦軸を0〜2回にして、1990〜2025年の折れ線にすると、1990年代の底、2019年の山、2020年の落ち込みと2025年の戻りが見える。

1990年から2025年までの、1人あたりの年間入場回数の折れ線。1990年は1.18回、1996年に1回を下回る0.95回まで下がり、2001〜2018年は1.13〜1.42回で推移、2019年は1.54回、2020年は0.84回、2025年は1.53回。
単位: 回(年間入場者数÷各年10月1日現在の総人口。自分で作った値。縦軸は0から)。期間: 1990〜2025年。出典: 日本映画製作者連盟「過去データ一覧」(2026-10-01 取得)、総務省統計局「人口推計」(2026-10-01 取得)の値から自分で算出

同じ期間のスクリーン数と平均料金(時間順に並べた対応)

映連の表には、回数のほかにスクリーン数と平均料金がある。回数の動きの時期ごとに、この2つの値を並べる(料金は名目)。

期間 1人あたり回数 スクリーン数 平均料金(円)
1960〜1975年 10.86 → 1.55 7,457 → 2,443 72 → 751
1975〜1993年 1.55 → 1.05 2,443 → 1,734 751 → 1,252
1993〜2019年 1.05 → 1.54 1,734 → 3,583 1,252 → 1,340
2019〜2025年 1.54 → 1.53(2020年は0.84) 3,583 → 3,697 1,340 → 1,454

スクリーン数は1993年の1,734が71年間の最小で、1960年の7,457からその間に減り、2025年の3,697は1969年以降で最も多い。映連の表で「うちシネコン」の数が分かる2000年以降では、2000年の2,524スクリーンのうち1,123、2025年の3,697のうち3,305がシネコンである。平均料金は1960年の72円から2025年の1,454円へ約20倍だが、1980年(1,009円)以降の45年間では約1.44倍である。

これは年を時間順に並べただけで、この対応だけでは因果関係を示せない。回数が下がった1960〜1993年の期間にはスクリーン数も減り、回数が上がった1993〜2019年には増えているので、スクリーン数と回数は同じ向きに動いている、とは言える。ただし、スクリーンが減ったから観客が減ったのか、観客が減ったからスクリーンが減ったのかは、この表からは分からない。平均料金は4つの期間すべてで上がっていて、1993〜2019年のように料金が7%ほどの上昇にとどまる期間に回数が増えているため、料金の動きだけでは回数の向きは説明しにくい、とも読める。テレビやビデオなど他の娯楽の普及を示す資料はこの記事では集めておらず、1960年代の落ち込みの理由は確かめていない。

この回数の読み方: つなぎ目・分母・年の対応

1999年と2000年のつなぎ目。 映連の表は、入場者数を1955〜1999年と2000年以降で同じ「入場者数」の欄に続けて載せていて、表にある注記は「2000年から興行収入による発表(配給収入発表なし)」だけである。入場者数の数え方が変わったという記載は見つからなかった。一方で、数え方が同じだという記載も見つかっていない。回数は1997年1.12回、1998年1.21回、1999年1.14回、2000年1.07回、2001年1.28回で、1999年から2000年のあいだに大きな段差は無い。また、全71年について、入場者数×平均料金が表の興行収入と±0.6%以内で一致する(これは表の中の整合の確認で、数え方が同じことの証明ではない)。

このため、1960〜1975年の急な下がり方と1975〜1999年の水準は旧い表の中だけで、2000〜2025年の動きは新しい表の中だけで言える。「1960年の約7分の1」「1975年と2025年がほぼ同じ水準」という言い方は、2つの表を同じ数え方とみなしたうえでのものである。

分母は総人口。 統計局の総人口には子どもと外国人の居住者が含まれる。2024年の日本人人口は120,296千人(統計局)で、これで割ると2024年の回数は1.17回ではなく1.20回になる。映画館の入場者数に訪日外国人の来場が含まれるかどうかは、映連の資料では確かめられなかった。含まれていれば、国内に住む人の回数は表の値より低くなる。また、この値は全員を平均した回数で、年に何回も行く人と1度も行かない人の分布は分からない。

1955〜1971年の人口。 統計局の1950〜1971年の人口は沖縄県を含まない(統計局の注記)。映連の入場者数に沖縄県が含まれるかどうかは確かめていない。含まれる場合、この期間の回数は人口が小さい分だけ少し高めに出る。その大きさは確かめていない。

2025年の人口。 統計局の値は国勢調査の更新で変わる可能性がある。1人あたりは1.53回で、World Bank の値で割っても同じである。

映連の同じ統計は、別の記事でも使っている。興収10億円を超えた邦画のうち、アニメは何本かは10億円以上番組の集計、洋画の興収シェアの低下は、本数が減ったのではなく1本あたりの興収が下がっていたは邦画・洋画の本数と1本あたり興収を扱っている。この記事は入場者数と人口の組み合わせだけを扱い、それらの記事の表は使っていない。

まとめ

  • 1人あたりの年間映画館入場回数は、1960年の10.86回から2025年の1.53回へ、約7分の1になった。下がったのは主に1960〜1975年で、1975年は1.55回だった。
  • 1975年から2025年までは0.84〜1.55回の範囲にあり、1回を下回ったのは1994年・1996年・2020年・2021年だった。2025年の1.53回は1976年以降では2019年(1.54回)に次ぐ。
  • 1960〜2025年に総人口は約1.32倍、入場者数は約19%になった。回数の変化は人口ではなく入場者数の変化による。
  • 回数が下がった期間にはスクリーン数も減り、上がった期間には増えていた。因果は、この表からは確かめられない。テレビなど他の要因は確かめていない。
  • 1999年までと2000年以降の入場者数が同じ数え方かは確かめられていない。1960年と2025年の比は、同じ数え方とみなした値である。

付録: 年別の値(1955〜2025年)

入場者数・スクリーン数・平均料金は映連「過去データ一覧」、総人口は統計局「人口推計」(各年10月1日現在)の値。回数は入場者数÷総人口で、自分で作った値(小数第2位まで)。1955〜1971年の総人口は沖縄県を含まない。2025年の総人口は暫定の推計値。

年 入場者数(千人) 総人口(千人) 回数 スクリーン数 平均料金(円)
1955 868,912 89,276 9.73 5,184 63
1956 993,875 90,172 11.02 6,123 62
1957 1,098,882 90,928 12.09 6,865 62
1958 1,127,452 91,767 12.29 7,067 64
1959 1,088,111 92,641 11.75 7,400 65
1960 1,014,364 93,419 10.86 7,457 72
1961 863,430 94,287 9.16 7,231 85
1962 662,279 95,181 6.96 6,742 115
1963 511,121 96,156 5.32 5,696 152
1964 431,454 97,182 4.44 4,927 178
1965 372,676 98,275 3.79 4,649 203
1966 345,811 99,036 3.49 4,296 219
1967 335,067 100,196 3.34 4,119 236
1968 313,398 101,331 3.09 3,814 262
1969 283,980 102,536 2.77 3,602 295
1970 254,799 103,720 2.46 3,246 324
1971 216,754 105,145 2.06 2,974 366
1972 187,391 107,595 1.74 2,673 411
1973 185,324 109,104 1.70 2,530 500
1974 185,738 110,573 1.68 2,468 631
1975 174,020 111,940 1.55 2,443 751
1976 171,020 113,094 1.51 2,453 852
1977 165,172 114,165 1.45 2,420 923
1978 166,042 115,190 1.44 2,392 967
1979 165,088 116,155 1.42 2,374 958
1980 164,422 117,060 1.40 2,364 1,009
1981 149,450 117,902 1.27 2,298 1,093
1982 155,280 118,728 1.31 2,267 1,092
1983 170,430 119,536 1.43 2,239 1,093
1984 150,527 120,305 1.25 2,191 1,144
1985 155,130 121,049 1.28 2,137 1,118
1986 160,758 121,660 1.32 2,109 1,116
1987 143,935 122,239 1.18 2,053 1,120
1988 144,825 122,745 1.18 2,005 1,118
1989 143,573 123,205 1.17 1,912 1,161
1990 146,000 123,611 1.18 1,836 1,177
1991 138,330 124,101 1.11 1,804 1,181
1992 125,600 124,567 1.01 1,744 1,210
1993 130,720 124,938 1.05 1,734 1,252
1994 122,990 125,265 0.98 1,758 1,249
1995 127,040 125,570 1.01 1,776 1,243
1996 119,575 125,859 0.95 1,828 1,245
1997 140,719 126,157 1.12 1,884 1,259
1998 153,102 126,472 1.21 1,993 1,264
1999 144,762 126,667 1.14 2,221 1,263
2000 135,390 126,926 1.07 2,524 1,262
2001 163,280 127,316 1.28 2,585 1,226
2002 160,767 127,486 1.26 2,635 1,224
2003 162,347 127,694 1.27 2,681 1,252
2004 170,092 127,787 1.33 2,825 1,240
2005 160,453 127,768 1.26 2,926 1,235
2006 164,585 127,901 1.29 3,062 1,233
2007 163,193 128,033 1.27 3,221 1,216
2008 160,491 128,084 1.25 3,359 1,214
2009 169,297 128,032 1.32 3,396 1,217
2010 174,358 128,057 1.36 3,412 1,266
2011 144,726 127,834 1.13 3,339 1,252
2012 155,159 127,593 1.22 3,290 1,258
2013 155,888 127,414 1.22 3,318 1,246
2014 161,116 127,237 1.27 3,364 1,285
2015 166,630 127,095 1.31 3,437 1,303
2016 180,189 127,042 1.42 3,472 1,307
2017 174,483 126,919 1.37 3,525 1,310
2018 169,210 126,749 1.34 3,561 1,315
2019 194,910 126,555 1.54 3,583 1,340
2020 106,137 126,146 0.84 3,616 1,350
2021 114,818 125,502 0.91 3,648 1,410
2022 152,005 124,947 1.22 3,634 1,402
2023 155,535 124,352 1.25 3,653 1,424
2024 144,441 123,802 1.17 3,675 1,433
2025 188,756 123,219 1.53 3,697 1,454

出典